2021.08.04
選択肢に込められた創造性と学び
30年近く前「たほいや」という深夜番組に夢中になっていました。
この番組は当時5人のタレントが広辞苑に掲載されているマニアックな言葉を拾い出し、
メンバー全員がその言葉から連想するニセの選択肢を作って互いに本物の答えを探り合
うというゲーム番組です。
このゲームの面白さはメンバー全員が問題の出題者であり、同時に解答者でもある点です。
しかも出題者の言葉に対するセンスや知性がはっきり示せて、他の解答者にニセの解答を
正答と思わせる選択肢づくりは実に美しく、私には驚きでした。
一方、テストにおける選択肢づくりには解く側の理解度を測る様々な工夫が盛り込まれて
います。特にその構成というのは実に巧妙にできていて、例えば合っているものを選ばせる
のか、それとも間違っているものを選ばせるのかで設計の視点は変わります。また、選択肢
それぞれの作りにおいて理解を問うのか、あるいは活用を問うのかで設問レベルが変わって
きます。更に選択肢同士の違いの作り方にもいくつかのパターンが存在し、テストづくりとは
いえ、そこにはたくさんの変数があり、なかなか奥深いものがあります。
このようにテストづくりには「たほいや」のような創造性に働きかけることで遊び心や知性が
発揮される特性と、作り手の知識量や思考方法に働きかけることで理解度や思考レベ
ルや学びが可視化される2つの特性があります。
テストは一般的に他者が事前に作った設問があって、評価する側が受験者の理解度を
効果測定するためのツールとして活用されています。もちろんこの使い方は1つの物差し
の基準で集団の理解度を測る上では最適なツールです。しかし、もしこの効果測定を
1つの物差しで測るのではなく、個々の学びから学び手自身が問いを生成するプロセス
に変換できるとしたら、そこには学び手の思考力や創造力がふんだんに盛り込まれた
プレイフルな体験になっていくはずです。
そして、更にこのテストづくりを社内教育の中で展開できる専門家やワークショップが増え
ていったら、テストを学びにできる新しい分野を切り拓けるのではないかと考えています。
私が考えるテストフォーミュレーションとは、テストづくりによって社内の研修や学びそして
仕事までもが創造的で且つ学びに溢れた探求的な世界を描いています。