市進ホールディングス

コラム

column
 
2020.11.02

塾のオンライン指導を社内教育の職場展開に活かすヒント

学習塾のビジネスモデルで特徴的なのが「サービスを享受する対象と対価を払う対象が異なる」
という点があげられます。塾の場合、子どもに授業の不満がなくても、対価を払う保護者に不満があれば、
状況によっては退塾になるケースもあります。これは仮に塾側のサービスに子どもの成績を上げる
クオリティがあったとしても、保護者が塾の指導に否定的な場合は、往々にして子どもの成績は
上がりにくくなることを意味します。そうならないためにも現場の講師たちはオーナーでもある保護者に
「指導のあり方」、「学習の様子」、「今後の展望」などをきめ細かく伝える必要がありました。

最近ではコロナの影響もあって、塾の授業は在宅でオンライン環境で受けることができるようになりました。
リアルの授業と比べてオンラインの授業は企業研修と同様に様々な制約がありますが、オンライン環境になったことで
先ほど述べた保護者へのマネジメントの問題が解消できるという副産物もありました。

例えば主に小学生の場合ですが、自宅でオンライン授業に参加するとき、
端末の画面には本人しか映っていなくても、そのすぐ横には保護者の存在があります。
保護者からしてみれば我が子が授業についていけているかという不安と期待で
観ているわけですが、私たちからしてみれば、塾の授業のクオリティを観てもらい、
その場で「指導の在り方」、「学習の様子」、「今度の展望」を伝える絶好の機会となります。

このことは社内の研修においても同じことが言えます。
例えば、部下を派遣する研修に否定的な上司がいた場合、オンラインの環境だからこそ
社内講師が直接、職場の管理職に対して研修への理解を求める絶好の機会になることと同じです。

私たちのお客様の事例ですが、人材育成部が実施するオンラインの研修中に、
その様子が気になった参加者の上長が隣で研修の一部を聴講していました。
その上長はカメラには映っていないのですが、その雰囲気を察した社内講師の方が、
「研修の在り方」、「学習者の様子」、「職場での実践法」について共有をおこなったところ、
研修後、上司が部下の育成に協力的になったという報告もありました。
このことは、オンラインの環境になり、社内研修に制約が出てきた一方で、同時に
OFFJTとOJTの効果的な接続を図る貴重な場を生み出した好例といえます。

子どもの授業では、画面に映らない隣の保護者。大人のオンライン研修でも、
受講者の隣にいる職場の誰かの力を借りて、育成の協力者を増やしてみてはどうでしょうか。
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