市進ホールディングス

コラム

column
 
2019.03.01

先輩の教え

私も20年前は塾の教壇に立っていた人間ですが、嬉しい思い出とともに、苦い思い出も数多く経験してきました。その度に自分の教え方について悩み、先輩たちから数々のアドバイスをいただいたことで私の教え方の素地が作られてきたと感じています。そんな中で当時、私が困っていたときに、ある先輩が常に言ってくれた言葉が、「力のつく授業(指導)をやっているか」というアドバイスでした。

一見、私たちの世界でいう「力」とは、点数や成績、知識量、高いテクニックを思い浮かべるかもしれませんが、その先輩の言う力とは、生徒が誰の力も借りずに、自分自身で思考し、最後まで諦めずに問題を解ききる力であって、その力が身に付くような指導を「お前はやっているのか」という叱咤でもありました。

とかく私たちは、何かを教えるときに、その場の直面する事象(問題)の解決に注力しますが、その先輩は、まずは事象の本質は何かを考えさせることを念頭に「力のつく指導」を当時から実践していたように思えます。

たかが塾の世界の話ではありますが、本質を教えることが、自分で考える力を育むことであり、自分で考えられるようになることが、力をつけさせるということを、私はこのような先輩たちに囲まれて学びました。

大人の社会では答えがなかったり、答えがあったとしても玉虫色に変わる環境に置かれていたり、そもそも「何が問いなのか」もわからない状況がある中で、私たちは相手に考えさせることこそが、対象が誰であったとしても、普遍的な教え方になっていくものと確信しています。
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