市進ホールディングス

コラム

column
 
2024.03.14

ラーニングキャピタルという考え方

細谷です。振り返ってみれば、私たちの取り組みは、もともとは今から10年程前に塾予備校の講師養成手法や生徒の主体性を引き出す講師の行動基準を企業向けにアレンジし、社内講師養成研修を中心に始めたものでした。コロナ前は、社内講師に求められる5つの視点を25の要素に分解して社内講師の方たちにトレーニングをしたり、コロナ禍になってからは塾予備校が得意とするオンラインやオンデマンドに特化した教え方スキルをいち早く提供したりしてきました。
ここ最近は、管理職を対象にしたZ世代へのマネジメント支援や、組織のエンゲージメントを高めるために管理職向けに「学び」を意識した1on1の導入支援をおこなっています。また、組織開発を目的とした新しい形の企業内大学の推進、更には組織のビジョン浸透に「エージェント」を養成するプロジェクトに携わらせていただくなど、「教える」「学ばせる」を基軸として組織の課題解決に直結する支援が増えてきました。
そして私自身、2024年をどんな年にしたいかを考えたときに、組織の「ラーニングキャピタル」を高める1年にしていきたいと思っています。「ラーニングキャピタル」とは、私なりの解釈では、組織の中の「個々の学ぶ意欲」と「教え合う風土」が組織全体の活力となり、その活力が組織の発展につながるというストーリーを描いています。この観点は、過去に「学習する組織」や「ラーニングピラミッド」といった切り口で扱われたテーマでもありますが、社員個々の「学ぶ意欲」「教えあう風土」こそが、組織発展の原動力になるという私なりの強い想いがこのキーワードの中にあります。
ラーニングキャピタルは、エンゲージメント同様、何をもって測定するかがこれからの課題になりますが、まずは、e-learningなど学習の個別化が進む中で、敢えて人と人が「学びあう」「教え合う」という関係性がエンゲージメントに与える影響などをテーマに研究会を発足させていきたいと考えています。そしてそもそも組織の中で行われている研修や職場学習が本当に社員の成長と組織の発展に寄与しているかなども扱っていきたいと思っています。
私自身、これまで30年間、子ども向けの民間教育、学校教育、社会人教育、企業内教育のそれぞれの領域に携われたことで、それぞれの対象や環境や目的に応じた教育の特性を見ることができました。これからは、そこで見てきたことを、人と組織に与える影響という観点から社会に還元するフェーズに入っていければと考えています。
組織の中で他者と学べることがその人の財産となり、互いに教え合う・学びあう風土が組織の発展に繋がるような循環を創りだす、今年はそんな「ラーニングキャピタル」の年にしていきたいと思っています。
一覧にもどる