市進ホールディングス

コラム

column
 
2020.08.31

オンライン研修のファシリでカギとなる「コール」と「思考整理」

 いま多くの企業で社内の集合型研修をオンラインライブ型に移行、または併用という流れになってきていますが、
これまで集合型で実施していたものをオンライン型に再設計する際に、そのゴール設定や学習効果の有用性についての検討は
だいぶ浸透してきたように感じています。一方で、再設計された演習の展開や振り返りのさせ方、そもそも設計しにくい講師の
ファシリテーションについては、まだまだ悩まれている企業が多いように思えます。

 オンライン研修のファシリテーションというと、単に講師のリアクションの大きさや、話し方の抑揚といった現象面に
目が行きがちですが、それ以上に受講者の反応を連鎖させる「コール」であったり、受講者にメモをとらせ、理解を促進させる
「思考整理」のアプローチが、ここでいうところの重要なファシリテーションになります。「コール」とは、私が便宜上つけた名称で、
受講者への「頻繁な承認」や「回答を求めない問いかけ」、「受け・止め・返し」、「ゆさぶり」などがそれにあたります。
「思考整理」とは、特に知識習得の研修において、受講者が講師の意図した通りの理解がなされているかを確認する
「部分と全体」「具体と抽象」の「関連想起」や、「ふりかえり」などの場面を意味します。

 これらの「コール」や「思考整理」を意識したファシリテーションは、特に研修時間が一段とコンパクト化し、
非接触の環境となったオンライン研修では非常に効果的です。
一方で、スキル不足による、学習させたい内容の「不定着」や気づきの「不活性」が課題として浮彫になってきているようにも感じます。
特に、オンラインでの研修は、受講で使用するテキストがデータ化されている(ペーパーレスの)場合が多いため、
受講者の思考や気づきは「端末の中で完結」されることも少なくありません。
つまり、これまでであれば、手元にある冊子のテキストに気づいたことを「自分の筆跡でまとめる」「テキストの余白に書き足す」
「イラストを描く」といったアナログ作業(文字を書く作業)が、効果的な思考の外化となり、受講者の気づきや理解の促進に繋がっていました。
しかし、オンライン研修では、「目と耳と頭は使われるが、手や口や感覚は使われにくい」というオンライン特有の環境があるため、
今後はこういった点にも配慮しながら、講師はファシリテーションを展開する必要が出てきます。
集合型の研修にもオンライン型の研修にもそれぞれ得意不得意とする領域がありますが、今後、主流となるオンライン研修においては、
集合型の研修以上に、デザインとファシリテーションの両方を講師がマネジメントするスキルが求められてくるかもしれません。

 学習内容の「不定着」や気づきの「不活性」を引き起こさないために、みなさんならファシリテーションにおいて、
どんな「コール」と「思考整理」を試してみますか?
一覧にもどる