市進ホールディングス

コラム

column
 
2020.12.03

「いつでも・何度でも」の逆を問う

オンライン研修が人材育成の新しいチャネルとなり、
ここ最近はオンラインライブと親和性のある映像コンテンツとの
新しい組み合わせを模索する動きが出ています。

映像コンテンツはこれまでも「いつでも・どこでも・何度でも」
という特性を活かし、個別性と自由度の高い学習チャネルとして扱われています。

しかし最近では、この個別性と自由度の高い映像コンテンツを
敢えて集合型のオンラインライブの環境で学習させる企業も出てきていて、
「いつでも」と「何度でも」の2つの特性を使わない、
つまり、ある時間帯で一回だけという「同時性」と「イベント性」の
2つを強調したデザインを試している企業があります。

このデザインの最大のメリットは、映像受講が同時間帯のため、
視聴の前後に講師と受講者が効率よく関われるという点にあります。
更に映像の代替によって従来社内講師がレクチャーしていた部分の
負担が大幅に軽減され、講師は受講者の気づきを引き出すファシリテーターに
専念できるメリットもあります。この仕組みは、塾予備校の世界での
「教える部分は映像。その試聴前後のコーチングは人」という部分とも重なります。

そして、ここで最も重要なことが、視聴前後のコーチングは「即時にする」ということ、
更に受講者に見せる映像は「見せっぱなしにしない」ということが大きな肝になります。

実際に企業がブレンディッドラーニングを採り入れようとして事前視聴を促進しつつも、
なかなか上手くいかないという企業も多いかと思います。
ならば敢えて事前視聴の映像を細かく分解し、オンラインライブでの一斉視聴の前後で
学習効果の最大化を図るという方法もあるかもしれません。

子どもも大人も時間と回数の制約があって初めて行動が起きるという特性があります。
そして子どもも大人も学習をやらせっぱなしにせず、どこかで人の手がかからないと
効果が出ないというところは共通しています。

オンライン研修が一般的になり、研修の学習効果がシビアに見直される段階に入った
社内教育において、従来のコンテンツの「どの部分を省力化し、どの部分を手厚くするか」は
これからの人材育成を考える上で重要な視点となることでしょう。

少なくとも塾予備校の世界では、「映像を見させるだけでは合格できない」ということは、
はっきりとしています。

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