市進ホールディングス

コラム

column
 
2020.05.08

学習チャネルの特性とチャネルミックスの考え方

社内研修の手段が急速にオンラインに移行する流れが起きていますが、私がいる塾・予備校業界では既に15年前に
今回の移行に近い状況が起きていました。

当時、塾と言えば個別指導は既に存在していたものの、まだまだ授業は集団でおこなうものという常識がありました。
そこに映像を採りいれた新しい指導形態が出てくるわけですが、当時、映像授業は集団授業には及ばないという
意見が多くありました。というのも「映像では講師の気持ちや緊張感が伝わらない」といった教える側の論理が強かったように思えます。
その後はご存じの通り、映像に全てが置き換わったということではなく、集団授業は集団ならではの良さ、
個別授業は個別ならではの良さ、映像授業は映像ならではの良さをそれぞれ「いいとこどり」しながら、
学び手はその目的に応じて手段を選び、学習するという流れが一般的になりました。

これは今起きている研修のオンライン化にも同じようなことが言えます。
オンラインは私どもの業界では映像やICTの授業にあたります。そして個別指導はOJT、集団授業は集合研修と仮に分けたときに、
それぞれの学習チャネル(指導形態)の特性を活かした学びの提供があるはずなのに、
例えば「オンラインでこれまでの集合研修が補える」「オンラインであればOJTの代用になる」といった
オンライン至上の考え方が存在することは、いささかの違和感があります。
もちろん世の中がこのような状況ですから、新しい学びのツールを活用しない手はないのですが、大切なことは
「オンラインでできることとできないことは何か」「オンラインでやったほうが効率的なことと非効率的なこととは何か」を
まずは精査していくことが、例えば階層別研修、部門別研修を効果的に進めようとしたときに非常に重要な視点と感じています。
では、これらのチャネルをどのように活用していけばよいのでしょうか。ここでのポイントは大きく2つあります。
1つは塾が、集団・個別・映像という3つのチャネル(指導形態)を持つようになったときに、それぞれのチャネルの特性を発揮する
学年、レベル、教科をおおよそ特定した点です。

具体的には、「映像は年齢が上がるほど向いている」「個別は科目間のレベルに開きのある生徒に適している」
「集団は難度の高い学校を受験させる生徒に適している」などです。この他にもたくさんありますが、
それぞれのチャネルが持つ特性を学習者のどこに適用するかを考えることは大切なことといえるでしょう。
もちろん、大人と子供の学びは全く違いますから、これをそのまま大人の学びに移行することはできません。
しかしこの視点を社内教育体系の中の集合研修、OJT、オンラインという3つのチャネルに置き換えたときに、
大きなヒントが隠されているのは間違いありません。
そしてもう一つが、集団と個別と映像のチャネルをミックスし、「生徒一人ひとりに学習コース」として提案することです。
ポイントは人に応じてミックスするということです。
社内研修の多くは、階層やキャリア、部門という単位で講座の選択権はあるものの、「一斉、一定、一律」の学び方がほとんどです。
一方で塾であれば、個人に応じて例えば、理科社会は映像で学習、国数英は集団で学習という生徒もいれば、苦手な数学は個別で、
残りの4科は映像という生徒もいます。これらは生徒が選択するケースもありますが、提案はチューターなどがおこなうことで、
最適な学びが提供されています。

このように、社内研修でも学びのチャネル(指導形態)が増えてきたことで、
これまでのやり方を大きく見直す時期がまさに今になります。
それぞれのチャネルの特性とチャネルミックスの考え方を運用しながら、
それぞれのチャネルに応じた学びをデザインしてみてはいかがでしょうか。
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