市進ホールディングス

コラム

column
 
2018.05.01

中学入試問題から考える 部下育成のヒント

先日、ある製造業の管理職の方たちと人材育成についてお話をしている中で、たまたま今年の首都圏の中学入試の問題について話題になりました。

受験業界では有名な話ですが、特に私立学校の入試問題には、その学校が求める人材像や価値観などが反映される場合があります。

例えば、国語の問題であれば、物語文の主人公の葛藤の理解を把握するために的確な言葉で言語化するという能力が求められるケースがありますし、算数であれば、公式で解ける問題ではなく、初見の問題から読み取れる条件を地道に整理し、数え上げていくことで、正答に辿り着ける問題を出題する中学校もあります。

今年、都内の御三家と呼ばれる有名中学校の入試では、理科でこんな問題が出題されました。

『 現在地球にいる野生の飛べない鳥をヤンバルクイナ以外に2つ書きなさい。ただし、人が飼育していて飛べなくなったニワトリやアヒルは野生ではないと考えます。 』

何気ない普通の知識を問う問題にも見えますが、長年、受験を専門にする業界にいる者としては、なぜこんな問題をこの中学校は敢えて出してくるのだろうと考えてしまいます。

「野生の飛べない鳥とは、どんな鳥なのか?」

「野生で飛べないことは、何を意味するのか?」

しかも「人が飼育して飛べなくなった鳥は野生ではないと考えます」という表現も、奥が深そうです。

そして、この話を先日、製造業の管理職の方たちに紹介したところ、「あっ、うちの会社、野生感、不足してるわ」といった、ちょっとした人材育成の議論にもなりました。



鳥が野生で飛べないことは、鳥にとって相当なリスクをともないます。

一方で、飛べなくなってしまった野生の鳥は、進化の過程で生き残るために地上を高速で走る能力であったり、水中を泳ぐ能力など、別の力を身に付けていきます。

それは、人が飼育して飛べない状態にするのではなく、自らを野生の環境に身を置くことで、飛ぶ能力を更に強化したり、飛ぶ以外の能力であれば、その能力を環境に適応できるように自らが主体的に習得していくものであるということを示しているようにも思えます。

ちょっと深読みの感はありますが、「管理職が部下を育てようとして、結果として部下の能力を潰してしまった」という笑うに笑えない話にも通じるような感じがします。

みなさまの会社では部下育成において、どんな能力を、どのように習得させていらっしゃいますか?
一覧にもどる