市進ホールディングス

コラム

column
 
2021.04.10

新入社員が入社して感じるギャップの正体

細谷です。いつもは「教え方」や「社内講師養成」などをテーマに
書いているコラムですが、ここ最近は「新人社員の意識について知
りたい」という声が多く、今回は新人の指導に困っている方たちに
参考になるお話をしたいと思います。

こういった声が多くなっている背景には、私たちが塾予備校を運営
しているということもありますが、特に最近の若手の早期離職やメ
ンタルダウン、彼らとのコミュニケーションギャップなどが顕著に
なっているという点があげられます。
実際に採用担当者や育成担当者、現場の管理職の方たちに詳細を聞
いてみると、

・彼らの大学教育のことは、ある程度わかっているものの、彼らが
 小学校・中学校・高校でどんな教育を受けてきたかまではイメー
 ジできない。
・脱ゆとり教育以降、彼らがどんな意識で、何を大切にして生きて
 いるのかまではつかめない。
・会社への期待が入社後、薄れやすく離職者が連鎖する。

といった声が多く聞かれます。

昔から「若者はよくわからない」という声は聞きますが、ここ最近
の特に管理職の新人に対する悩みは本当に深刻になっていると感じ
ています。

もちろん、塾予備校だからといって学生の全ての意識を把握してい
るわけではありませんが、新卒として社会に出るときに「彼ら企業
や組織に何を期待しているのか」は、「彼らがどういう環境で多感
な10代を過ごしてきたか」という点に焦点を当ててみると、その関
係性が見えてきます。

昨年、産労総合研究所発行の「企業と人材」3月号で「新人たちは、
学生時代にどのような教育を受けてきているのか」というレポート
を書かせていただいたのですが、1年たった今でも反響があり、新人
育成に課題感を持っている企業の多さを感じています。

この寄稿では、新人たちが入社して感じるギャップとその背景にある
ものをいくつかまとめており、ポイントは主に以下の4点と考えます。

・企業の教育体制に対する期待とギャップ
・アルバイトではできない仕事への過剰な期待から生じるギャップ
・成長へのこだわりの強さから来るギャップ
・理不尽な指示への対応力低下によるギャップ

これらのギャップを企業教育や現場での育成でどう解消していくかは、
一筋縄ではいきませんが、育成者側が知っておくべき点は「彼らは、
私たちが思う以上に大切に育てられてきている」という点です。

この点には、いろいろなご意見があるのは重々承知ではありますが、
若手を組織の貴重な人財として育成する上では知っておきたい前提
となります。

逆に、この前提を上手く活かして育成することができれば、彼らの
組織に対する貢献やエンゲージメントは確実に強化されていきます。

現在おこなわれている新人教育において「彼らの反応が今までと違う」
と感じる育成担当者がいたとすれば、その原因は上記の内容と関係して
いる可能性があります。始まったばかりの新人研修ですが、早めの段階
で軌道修正を加えることで担当者が感じるギャップは小さくなっていく
はずです。
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